雄国について
雄国は八つの外輪山に囲まれています。一番高い山は、猫魔ケ岳1404m、太平山1349m、猫石1335m、厩岳山1261m、古城ケ峯1287m、二子山1051m、牛殺し1204m、雄国山1271m。
この外輪山は猫魔火山によって形成されております。雄国沼は、今から50万年前に猫魔火山から一気に溶岩が噴出し、中空になって陥没して出来たものと考えられ、噴火の後に水がたまったカルデラ湖です。長い年月に浸食を受け外輪山もなだらかになり、浅く平坦になって湿地帯に発展したのが雄国湿地帯です。
雄国は場所によっていろいろな植物が見られます。金沢峠(表紙イラスト左WCのあたり)のあたりはススキが密に茂り、ワラビ、コウゾリナ、レンゲツツジ、ノリウツキ、ナナカマドなどの低い木が茂っています。南西方向(表紙イラスト左下のあたり)は竹の群生が見られ、ブナ、水ナラの林も所どころにあります。北の方向(表紙イラスト上、雄国山のあたり)は低カンボクが多く竹と山ブドウなどのヤブに覆われています。東の方向(表紙イラスト右のあたり)はブナの林になり動物の住みかになっています。
中の雄国沼は水面が1089m、周囲約4km、面積は約45ヘクタール、深さは深いところで8m、この水は雄子沢に流れ用水に利用されています。水は酸性で、魚はアブラハヤ、ナマズ、コイ、ドジョウ、フナが見られますが、釣りは禁止されています。
雄国沼植物群は昭和32年に国の特別天然記念物に指定され、植物を取ることは禁止されています。高層湿原のなかの凸凹な地形が水ゴケを繁茂させ、植物群の宝庫になっています。ショウジョウバカマ、コケモモ、ヌマガヤ、ミツバオウレン、ワタスゲなどが見られます。変わったものでは、ホロムイイチゴがあります。これは北海道のホロムイ地方で見つけられ、氷河期に南下し、そのままいすわった北国の迷い子の植物です。
春にはタテヤマリンドウ、ワタスゲ、モウセンゴケ、サワラン、トキソウ、水芭、又湿地帯には池塘がみられ、水芭蕉、ミツガシワが密生しています。一般には立ち入り禁止です。夏にはニッコウキスゲが咲き乱れ湿地帯がイエローカーペットになり、人々の心をなごませています。また山側はレンゲツツジで一杯になります。植物は約280種で春から秋まで目を楽しませてくれます。まさに、小さな尾瀬です。